2018-07-19

群馬県の廃棄物はなぜ多いのか? ― 金 承華 講師

 本内容は環境経済学の講義で、廃棄物問題について説明する際に、履修者の約半分の出身地である群馬県が、日本ではどのような位置にあるのかを見たときに気付いた内容である。以下のように整理してみた。

 グロバールな視点から見ると、経済成長による一人当たりの所得の増加と発展途上国を中心とする人口増加は、生活上必要な商品の消費増加をもたらした。その結果、廃棄物排出量の増加とその廃棄物の質の多様化が生じている。「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」の第1章第2条によれば、廃棄物とは、「ごみ、粗大ごみ、燃え殻、汚泥、ふん尿、廃油、廃酸、廃アルカリ、動物の死体その他の汚物又は不要物であって、固形状又は液状のもの(ただし、放射性物質及びこれによって汚染された物を除く)」であると定められている。さらに、廃棄物は、産業廃棄物(事業活動に伴って生じた廃棄物のうち、燃え殻、汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、廃プラスチック類その他政令で定める廃棄物、輸入された廃棄物など)と一般廃棄物(産業廃棄物以外のゴミ)に分けられる。

 戦後日本の廃棄物排出量の推移は、戦後期(1945年代-1950年代)、高度成長期(1960年代-1970年代)、高度成長期以降からバブル崩壊時期(1980年代-1990年代前半)、ならびに、バブル崩壊以降(1990年代後半-)に分けられる。2000年前後までは増加する傾向にあった (具体的には「日本の廃棄物処理の歴史と現状」を参照)。(図1)

図1 日本のごみ排出量の推移(万トン)

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 出所:環境省(環境統計集)と「日本の廃棄物処理の歴史と現状」による。『環境白書』(平成21年版)の定義によると、一般廃棄物はごみとし尿に分類され、さらに、ごみは、生活系ごみ(家庭から発生する家庭ごみ)、事業系ごみ(オフィスや飲食店から発生する事業系ごみ)に分類される。また、生活系ごみと事業系ごみは平成6年度から公開されている。

 その一方で、各期に起こった様々な環境問題について、戦後の1954年「清掃法」をはじめ法律・法規(図2)が実行された。その結果、2000年代に入ると、一般廃棄物をはじめ産業廃棄物の減少と伴って、当然なことでもあるが、総廃棄物が減少する傾向に転じた。

図2 日本における廃棄物政策の変遷

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出所:「日本の廃棄物処理の歴史と現状」による。
  環境省 (https://www.env.go.jp/recycle/circul/venous_industry/ja/history.pdf)

 日本全体の総廃棄物について、1日1人当たり排出量の推移をみると、平成19年の1089gから平成28年には925gまで減少した。表1に関して、またこれを、平成28年度の各都道府県でのランキングをみると、群馬県が日本の平均より高い1005gで、43位になっている。これを市町村レベルでみると、甘楽町のように600g程度の自治体がある反面、片品村や嬬恋村のように1.3-1.4kg、あるいは草津町のように草津町のように2kgをこえる自治体もあり、自治体ごとに大きく異なっていることがわかる(表1)。

表1 平成28年度都道府県別1人1日あたり排出量の状況(g)

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出所:http://www.pref.gunma.jp/contents/100061628.pdf

 特に、平成28年度の1人1日当たりの生活系ごみのうち、収集可燃ゴミ排出量の状況をみると全国平均が415gである。都道府県のランキングでみると群馬県が567gで最下位の47位である。群馬県の1人1日当たり生活系収集可燃ゴミ排出量を市町村のレベルでみても(表2)、自治体ごとに大きく異なっている。表1で見たように、たとえば、草津町については、ごみ排出量は約2.3kgであったが、可燃ごみについては約630gである。この差は、何によるものかを調べてみよう。

表2 平成28年度市町村別1人1日あたり生活系収集可燃ごみ排出量の状況(g)

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出所:http://www.pref.gunma.jp/contents/100061628.pdf

 平成28年1月21日の廃棄物処理法基本方針では、平成32年度までに一般廃棄物の排出量を平成24年度に比べて約12%削減と産業廃棄物の排出量の増加を約3%に抑制にすることに加えて、1人1日当たりの生活系ごみ排出量を500gに削減することが目標とされている。

 以上のような現状と全国的な範囲での計画のもとで、国民の義務になっているごみの削減について、群馬県はどうすべきであるか。どのようにして、全国「最低ライン」という名前から脱出することができるのか。これに関しては、全国平均を超えている市町村について、各自治体のガバナンスを整理し、現地調査による分析が不可欠である。