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2009年6月 3日 (水)

債権法

                                                                   法学部 新田孝二                                       

  日本民法が明治29年に制定されてから今年は114年目に当たる。長い年月、生命を保ってきた。終戦後の昭和22年に大幅に改正された親族、相続は別として、その他は大きな改正はなかったが、財産法の条文の表記を平仮名・口語体にする法改正が平成17年(2005年)4月1日から施行されると、この頃から、民法の一部改正がよく行われるようになった。そして、いよいよ、債権法の改正が目論まれている。

 担当者の一人である前東大教授の内田 貴氏の【いまなぜ『債権法改正』か?】(上)、(下)NBL871,16;872,72によると、まず、今までの規定が抽象的であったのを改めようとしている。民法総則にある「人」は「商人」とはつながるかもしれないが、現代の「消費者」とは大いにずれる。つぎに、当たり前のことは、わざわざ規定しないという今までの行き方を止めるという。今までの方が、条文が少なくて済むが、分かりにくい。例えば、今までの危険負担の規定では、要件である「帰責事由のない履行不能により債務が消滅する」というのは規定されず、しかし、このことは論理的な前提として、対価関係にある相手方の債務の存否について、「(不能となった債務の)債権者の負担に帰する」と規定していた。この規定の帰結そのものも検討の必要があるが、規定の仕方に変えようというのである。

 第三は、改正の在り方である。債権法はとくに、世界に共通の要素を含むものであるから、この点に留意しなければならない。國際取引の分野で成立しているウィーン売買条約は参照されているとのことである。しかし、外にあるものを頂くだけでなく、わが国独自のブランドのあるものを作り上げることが意図されている。しかも、これが、「21世紀の社会の構成原理のあり方」について何らかのメッセージが含むものが意図されている。大仕事ではある。

 平成21年5月8日に別冊NBL/No.126に、民法(債権法)改正検討委員会編『債権法改正の基本方針』が発表されている。前半は、条文の形をとった「基本方針」に「提案要旨」が付けられている。