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2010-10-06

国際地学オリンピック ― 瀧上 豊教授

 国際地学オリンピックとは高校生のための科学オリンピックの1つで今年のインドネシア大会が第4回目の開催である。第1回の2007年は韓国、第2回の2008年はフィリピン、昨年の第3回の2009年は台湾で開催され、日本の高校生は第2回のフィリピン大会から参加している。私は、第1回韓国大会の視察から参加しており、第2回大会からは高校生を選抜するための日本国内予選の開催と国際大会派遣のための組織(NPO法人地学オリンピック日本委員会http://jeso.jp/ )を運営して、毎年、全国から選抜された4名の高校生を国際大会に引率している。

 今年9月に行なわれたインドネシア大会では17カ国63名の高校生が世界から集まり、日本全国の約700名から選抜された高校生は、1名が日本で初めての金メダルを受賞し残りの3名も銀メダルを受賞するというすばらしい成績であり、多くの新聞やテレビで報道されました。

 この国際地学オリンピックに参加してみて感じたことを3つ述べてみたい。

1) 世界各地では、環境問題に絡めて地球を知る学問である地球科学への関心が高まっている。しかし、日本では大学受験で地学がほとんど使われないことから、高校で地学を開設している学校が極端に少なくなっている。そのため、地学を履修する学生も少なく、日本のほとんどの若者は環境問題を表面だけしか見ることができず、本質的に考えることができない状態である。すなわち、我々にとって現在必要と思われる学問の内容と日本の教育課程が乖離している。

2) 国際地学オリンピックでは国際協力野外調査という、メダルと関係ないイベントがある。これは、各国バラバラの高校生が6-7名でグループをつくり、地学の野外調査(今年は鍾乳洞)をして、その結果を半日程度でパワーポイントにまとめ上げ、英語でプレゼンテーションを行なうものです。そこには真の国際協力が存在する。日本の高校生は、将来、全員地球科学関係に進学するわけではなく、弁護士や医学部志望の生徒もいます。将来いろいろな方面に進む日本の高校生が、このような国際協力を肌で感じる重要性を実感します。

3)  国際地学オリンピックに参加する日本の生徒は、全国でも優秀な高校からの選ばれることが多いですが、いままで、全員英語で苦労しています。参加国は英語が母国語でない国が多く、高校生の英語は決して上手とはいえませんが、英語をツールとして使いこなしています。ここにも、日本の英語教育の貧弱さを感じます。

 このように、ここ4年間、国際地学オリンピックに参加してみて、学ぶことがたくさんありました。来年2011年はイタリア大会です。すでに一次予選の募集が開始されています。お知り合いに高校生がいらっしゃいましたら、是非、応募することをお勧めします。
また、2012年には日本のつくば市で第6回国際大会を開催します。日本としては是非成功させたいと思っております。