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2018-05-30

自動車メーカーの技術開発 ― 間普 崇 教授

 2018年5月、トヨタ自動車は、2018年3月期連結決算(米国会計基準)の純利益が、2兆4939億円だったと発表した。この利益額は、日本企業で過去最高の金額であり、トヨタ自動車に代表される日本の自動車産業は、日本の経済を支えている主要な産業の一つであるといえる。この「ニュース解説」では、特に自動車産業、自動車メーカーの今後について、技術開発という観点から見てみることにする。

 およそこの10年間、各自動車メーカーから販売される主力となる自動車は、環境性能に優れたいわゆるエコカーが多く、購入する側も、その車の燃費性能を非常に重視するようになっている。さらに、ここ数年の各自動車メーカーのテレビCMなどを見ると、燃費性能とは違う新たな性能をアピールしているように感じられる。ここでいう新たな性能とは、例えば、追突を防止する「自動ブレーキ」、ペダルの誤操作による急発進を防止する「踏み間違いサポートブレーキ」、車庫入れなどを支援する「駐車アシスト」、そして運転者が操作不要となる「自動運転」などのことである。環境にやさしいという燃費性能に特化したエコカーの次の世代の新しい車とは、こうした機能を備えたものとイメージしてよいであろう。

 日本の各自動車メーカーの経営トップのメッセージには、これからの自動車の進化の方向性を表す言葉として「エネルギー」、「コネクティビティ」、「自動運転」などのキーワードが使われている。「エネルギー」という言葉は、燃費性能に示されるように、いかに効率よく走ることができるか、また、環境への負荷をいかに少なくできるかという側面を意味している。「コネクティビティ」という言葉は、通信機器への接続や、それによる車両外部のデータを活用する機能のことをいい、もう一つのキーワード「自動運転」の実現と密接な関係を持ち、自動運転を支える技術であるともいえる。

 車の自動運転を実現するためには、これまで自動車メーカーが技術を培ってきた分野とは異なる分野での技術の革新が必要となってくる。例えば、自動運転する車は、カメラなどのセンサや無線通信によって得られる地図情報などをもとにして、自車の位置や走行状況などを正確に認識するために、必要な情報を収集し分析する機能を備える必要がある。また、必要な走行情報を収集した上で、それを分析し、車が次にどのような行動をすべきかを的確に判断、決定することが求められ、車にこのような機能を持たせるために、人工知能を活用することも考えられているそうである。

 このように、近い将来われわれが接する車は、従来の車には無い全く新しい機能を備えたものになると考えられる。そして、そのことは、これからどんな車が現れるのかを考える際には、各自動車メーカーが先に述べたような技術分野での開発にどのように取り組み、どのような成果をあげているかを知る必要があることを意味しているといえよう。