ワンポイントレッスン

2009年3月25日 (水)

ワンポイントレッスン(25)

Q 五十音(単音節)はやや不明瞭ながら構音できるようになり、自発話もそれなりに理解できるように改善されてはきたのですが、リズムやイントネーションが不自然であったり、話し方が全体的に単調であったりします。自然な正しいリズムとイントネーションを身に付けるには、どのような練習をしたらよいのでしょうか?

A 日本語のリズムには音の高低が関係します。また、言うまでもなく、言葉のイントネーションにも、高低の抑揚が関係します。音声の高低を生み出すカギは母音です。そこで、母音に高低をつける練習をする必要がでてきます。例えば「あ」の場合、高い「あ」と低い「あ」とを自由に生み出せるように、操作できるようにならなければなりません。母音を上げ下げするには、身体の重心を利用するとよいでしょう。身体内の重心を上げたり下げたりしながら母音を練習すると、容易に音声を上下させることができるようになり、発話に自然なリズムやイントネーションを付けることができます。(身体の重心を上げると高い音が出やすくなり、反対に、重心を下げると低い音が出やすくなります。)

2009年2月19日 (木)

ワンポイントレッスン(24)

Q 左右100dBの幼児です。五十音表を使って一つ一つの音の練習をし、最近では、単音節であれば、やや不明瞭ながらも、それなりに発音できるようになってきました。しかし、単語や文章となると、正しく発音できません。どのようにしたら、正しい発音で話すことができるようになるでしょうか?

A 基本的に、「五十音の練習をしてから単語や文節・文章の練習に進む」という考え方に無理があります。初期段階から、音節と平行して、単語や文節・文章の練習に取り組む必要があります。自然な発話を目指すには、生き生きとしたリズムやイントネーションとともに、正しい「音のわたり」を身に付けることが求められます。単音節の時とは異なった構音法が求められるのです。単音節の明瞭性を追求することは大切ですが、音の集合体の中での「わたり」の練習、つまり単語や文節・文章を使っての「わたり」の練習を忘れてはいけません。

2009年1月16日 (金)

ワンポイントレッスン(23)

Q 重度の聴覚障害児です。五十音表を使って発音の練習をしているのですが、単語を発音すること(音節をつなげること)が難しく、リズムも不自然な状態です。言葉をつなげて発音できるようにするための練習方法を教えてください。

A 「耳は末梢の受容器で、実際に言葉を聞くのは脳である」と言われます。発音も同様で、「口は末梢器官で、話すのは脳である」と言えます。重度の聴覚障害児の場合、生後、聴覚経由で、適切な言葉の刺激を発話領域に与えないでいると、脳レベルでの発話に関わる機能が活性化されず、滑らかに言葉を発音することが困難になってしまいます。つまり、幼い頃に、単音節ばかり練習したり、一音一音区切って発音したり、手指法などの視覚的な情報に過度に頼る生活を続けていたりすると、脳内の発音を司る領域が育たず、複数の音節を自然につなげて発音することが困難になってまいります。

まず、単音節ではなく、複数音節の言葉に耳を傾ける生活に改めること、連続した言葉を聴く習慣をつけることが重要です。そして、文節(複数音節)毎に発音する練習を重ねることが重要です。多少、不明瞭でも音をわたらせる練習を続けていると、音節をつなげて発音することが可能になってきます。

2008年12月17日 (水)

ワンポイントレッスン(22)

Q 拗音の練習はどのような順序で練習したら最も効果的でしょうか?また、清音の進歩との関連などを教えてください。

A 拗音(「きゃ、きゅ、きょ」、「しゃ、しゅ、しょ」、「ちゃ、ちゅ、ちょ」など)の練習は、半母音(/y/)の練習と一緒に始めると良いと思います。子音(/k/など)の構音がやや不明瞭であるからといって後回しにするよりも、不明瞭な子音の練習を兼ねるつもりで早期に開始することをおすすめします。

拗音では、子音(/k/など)や半母音(/y/)が、やや長く、また弛緩性の音になることもあって、また末尾には音調的にそれほど高くない母音(/auo/)が後続していることもあって、重度の耳にも案外捉えやすい音であるようです。

2008年11月27日 (木)

ワンポイントレッスン(21)

Q 清音と濁音の練習での共通点また相違点を教えてください。

A 共通点は構音方法と構音点が同じであるということです。相違点は緊張度が異なるということです。

例えば、「か行」の/k/と「が行」の/g/を比較してみると、両音素とも構音方法は閉鎖破裂音で、構音点ということでは軟口蓋音です。しかし、構音する際の構音器官の筋肉の緊張度に差異があります。つまり、/k/のほうが/g/より筋緊張度が高いのです。/k/は緊張性の音素、/g/は弛緩性の音素と考えることができます。「か」の練習の際に、正しく構音できずに、「が」の音になってしまうようであれば、構音器官の緊張度をやや高めて構音するようにすると目標音に近づきます。逆に、「が」の構音をめざしても、「か」になってしまうようであれば、緊張度を下げることが求められます。

一般に清音の構音には濁音の構音より、やや高い緊張度が要求されます。「さ行」と「ざ行」、「た行」と「だ行」においても、同じ様に緊張度に差異が認められます。

2008年10月16日 (木)

ワンポイントレッスン(20)

Q 聴覚障害児(重度)の構音練習の順序について伺います。単音節(五十音)の練習は母音の「あいうえお」から始めるのがよいでしょうか?それとも子音+母音の音節(「か行」「さ行」「た行」など)から始めるのがよいでしょうか?

A 発音の重要性としては母音が優先いたしますが、発声自体に問題を抱えている聾児の場合には、両唇音/pb/が先行する「ぱ行」「ば行」の練習から入るほうが無難です。「ぱ行」と「ば行」の破裂音/p/と/b/によって、正しい呼気の感覚をつかむことができるからです。自然な発声を獲得するのに欠かせない基礎練習となります。また、呼気に促されて後続する母音の構音が容易となります。

母音のみの練習は、「ぱ行」と「ば行」の練習で少し呼気の使い方が上手になってから取り組むほうがよいでしょう。

子音の先立つ単音節の練習順序は、/p、b/の次は、/m/の「ま行」、そして/t、n/の「た行」「な行」がよいでしょう。

「か行」や「さ行」の/k/や/s/は、他の子音の構音がある程度身についた後に練習するほうが無難でしょう。/k/と/s/の構音には、運動感覚の未熟な34歳の幼児にはやや難しい運動が求められるからです。

2008年10月 8日 (水)

ワンポイントレッスン(19)

Q 4歳の難聴児ですが、「ら行」がはっきり発音できません。どのように指導したら明瞭になるでしょうか。

A 「ら行」は母音に近い音です。舌先をやや挙げて「あいうえお」を発音すると容易に発音できます。舌先が歯茎に触れるまで挙がっていなくても「ら行」になります。あまり極端に舌先を挙げるとかえって不自然な音になりますから、ほどよい程度に挙げることがポイントです。また、手や指で小さく円を描くような回転運動を添えると、舌の/r/の構音運動を促すことができます。

「テレビ」が「テービ」の様な発音でも、案外、耳には自然に聞こえるものです。幼い子の場合、健聴であっても、やや不明瞭に/r/を発音したりすることがありますが、なんとなく可愛らしく聞こえるものです。実際の会話では、場面状況から、例えば「ラーメン」か「アーメン」か、多少不明瞭でも、推測が可能で、コミュニケーションに支障をきたすということはありません。

「ら行」の発音で、気をつけなければいけないことは、舌が横に動かないように注意することです。鏡などを用いて練習するのもいいでしょう。

2008年6月17日 (火)

ワンポイントレッスン(18)

Q 6歳の聾児です。「は行」の発音が苦手です。特に「ひ」が苦手で「き」のようになったりします。どのように矯正したらいいのでしょうか?

A 「は行」は呼気の使い方がポイントです。無声の呼気にやわらかく有声音の母音を後続させなければなりません。「は行」は、現在、構音点の違いから、「は、へ、ほ」は声門音、「ひ」は硬口蓋音、「ふ」は両唇音となっていますが、8世紀頃には、例えば「ひ」には二通りの発音があったと言われています。また、16世紀頃には、「は」が両唇摩擦音であったとも言われています。
 聴覚障害児の練習では、構音点の違いは無視して、全ての「は行音」を両唇摩擦音で練習するところから始めることをお勧めします。やや乱暴な方法のように思われるでしょうが、不思議なほど容易に、自然な「は行音」を習得することができます。つまり、「ふ~」と、心持ち強めに息を吹きながら、それぞれの母音をゆっくり後続させるのです。「ひ」であれば、「ふぃ~」のような感じで練習します。そのようにすると硬口蓋音に母音を容易に乗せることができます。そのような練習をしばらくした後で、力まずに、普通に「ひ」を発音すると、正しい「ひ」が得られます。

2008年5月 8日 (木)

ワンポイントレッスン(17)

Q重度の感音難聴の男児(4歳)ですが、「な行」が「た行」のようになってしまいます。どのように直したらよいでしょうか。

A「な行」の/n/を速く、強く発音してしまうと、/t/になってしまいます。/n/の音声特性は「ゆっくりと捻るような音」と捉えることができます。ややじれったいくらいに時間をかけてゆっくり「な行」を構音してみてください。多くの場合それだけで「た行化」の防止になります。
 「な行」のなかでは「に」が一番難しいかもしれません。唇を結んでしまい「み」になってしまったりすることがあります。緊張度の低い/n/の音から緊張度の高い/i/の音への移行時に両唇に力が入ってしまうことによるようです。また、/ni/の/i/が鼻に抜けて音にならなかったりもします。/i/をやや弛緩気味に(抑え気味に)構音すると良いでしょう。
 なお、/t//d//n/の緊張度の比較では、/t/が最も高く、/n/が最も低いと考えられます。「た行」が「だ行」のような音に変わってくれば、「やや進歩」と評価できます。もう一段緊張度を下げれば「な行」になるでしょう。

2008年4月 9日 (水)

ワンポイントレッスン(16)

Q「ち」と「つ」の練習の仕方を教えてください。

A「ち」には「し」の音素/sh/が、また「つ」には「す」の音素/s/が混じっています。つまり、「ち」の練習に入るには「し」の構音が習得できていること、また「つ」の練習には「す」の構音がある程度習得できていることが望ましいと考えられます。
 「ち」と「つ」の習得では、/t/の後に「し」あるいは「す」を適切に構音する技術を磨くことが目標となります。閉鎖破裂音である/t/の後に、音声特性の全く異なる摩擦音をつなげるには、/t/の破裂の度合いをやや抑えることを運動感覚で身につける必要があります。
 一つの方法として、机や床の表面の滑らかさを手のひらや足の裏で感じながら、そしてその滑る感じを口の中で再現するようにしながら、構音することが考えられます。
 摩擦音は音の性質から、重度の聴覚障害児には耳で捉えることは至難のようです。皮膚の表在感覚を利用した練習が欠かせないように思われます。
 「し」や「す」の構音を習得してからとなると、多くの場合、就学前後頃に練習を開始することになります。「ち」と「つ」に関しては、身体が少し成長して、微細な運動が可能になった頃に、練習を開始するほうが無難かもしれません。

2008年3月 6日 (木)

ワンポイントレッスン(15)

Q4歳の感音難聴の男児(左右100dB)です。「た行」が全く発音できません。まるで「あ、い、う、え、お」のように発音しています。どのように練習したらいいでしょうか。

A「た行」のなかの「ち」と「つ」は、「た、て、と」とはやや異なった音素(摩擦音)が加わっていますので、第一段階としては、「た、て、と」の構音を練習するといいでしょう。
 子音の/t/の音の特性は「打」と考えられます。息の閉鎖をともなった舌先と歯茎の接触と、瞬間的な解放の運動の感じが、何か物を打つような感覚を伴うからです。手のひらで机の表面を叩く時の感覚を口の中で再現するようなつもりで構音すると、案外容易に/t/を習得することができます。
 あるいは、舌先が歯茎から離れる際の呼気を子どもの手のひらに感じさせてあげるのも効果的です。構音点が誤まっていると/t/の構音はなかなか習得できませんので、鏡などで舌の「位置」を確認させることも時には有効です。ただ、あまり舌の「動き」を意識させると、構音が不自然になり、悪いクセとして残ることもありますから、「動き」を模倣させる指導は、過度にならないように気をつけることが必要です。
 「た、て、と」にならないまでも、「だ、で、ど」のような音を構音できるようになったらかなりの進歩です。正しい「た、て、と」にまでたどり着くには、構音器官の緊張度をより高めるような練習を重ねればよいと思います。

2008年2月22日 (金)

ワンポイントレッスン(14)

Q「さ行」のなかの「し」は、他の「さ、す、せ、そ」とはやや発音が異なるように思われるのですが、「し」の練習方法を教えてください。

A「し」の子音部は/sh/であり、「さ、す、せ、そ」の子音部は/s/で、構音点が異なります。そのため、/sh/を導き出す技法は/s/とは異なります。緊張性の高い/sh/の構音では、/s/の構音時よりも、身体と構音器官の筋肉を緊張させることが求められます。 
 一例として、肩より高い位置で空間内に手のひらで大きく弧を描く(空気を撫でるような)運動を添えながら構音する方法が考えられます。やや速度を上げて腕や手のひらを動かすことがポイントです。
 「し」は音調が高く、重度の難聴児には極めて聴き取り難い音です。身体の感覚を頼りに構音することが求められます。子どもの手のひらに「し」の音を吹きかけ、「し」に特徴的な呼気の「圧力や勢い」を感じさせることも大切です。

2008年2月 7日 (木)

ワンポイントレッスン(13)

Q3歳の男児(重度感音難聴)ですが、「さ行」がまったく発音できません。「た行」のような発音です。どのように練習したらいいでしょうか。

A3歳児の場合、まだ「さ行」を練習するには無理があります。発音器官の形や動きが幼く、/s/の練習を始めるには早過ぎると思われます。小学校に入る頃になってやっと「せんせい」と正しく発音できるようになる健聴児も珍しくありません。3歳であれば、「せんせい」が「てんてい」であっても問題はありません。(むしろ、/t/の構音が可能であることを喜ぶべきです。)
 /s/の練習は5~6歳あたりから始めたらよいのではないでしょうか。摩擦音である/s/は音調の高い音で、重度の聴覚障害児には、ほとんど聴き取れないと思われます。そのため、身体の運動感覚や触感覚などを通じて学ぶ必要があります。例えば、なめらかな床の上に立って、足の裏をゆっくり滑らせながら/s/の含まれる単語を発音するなどの練習が考えられます。足裏の摩擦の感触を舌で再現してみるつもりで/s/を練習するのです。力みのない動作で練習してみてください。

2008年1月22日 (火)

ワンポイントレッスン(12)

Q 母音の「い」/i/が、「ぴ」/pi/や「び」/bi/の末尾では/i/とでるのですが、/i/単独では正しく発音できません。どのように練習したらよいでしょうか?

A 語頭の/i/が鼻に抜けたような音になるなど、声にならない場合がよくあります。原因としては、発音の際に喉頭や咽頭や口腔内の過緊張によって、呼気が鼻腔に向かってしまことが考えられます。そのような場合、文末や語末では発音器官が弛緩する傾向があることを利用して、末尾が/i/で終わる言葉を選んで練習するとよいでしょう。例えば、文末での「~ない」、語末での「あまい」、「おもい」などがよいでしょう。意図的に身体や発音器官の筋肉を弛緩させて練習してみてください。

2007年6月22日 (金)

ワンポイントレッスン(11)

Q 補聴器を装用している男児ですが、「が行」の発音ができません。鼻から息が抜ける感じで音になりません。どのようにしたら正しく発音できるようになるでしょうか。

A /g/に後続する母音までもが鼻腔に抜けるために正しく発音できないでいると考えられます。まず、指で鼻腔をつまむなどして、鼻腔内の振動や共鳴を意識させましょう。その後、構音点(口の中の音をつくるポイント)を口の奥(軟口蓋)から口の前の方(硬口蓋)に移す練習に入ります。奥歯あるいは下顎の力を少し抜いてゆっくり発音すると構音点が前方に移動いたします。母音への「わたり」のときに、呼気が鼻腔に抜けないようになれば、「が行」の発音は正しくなります。
 なお、「が行」の練習は、通鼻音の「な」が正しく発音できるようになってから取り組むとよいでしょう。

2007年6月 6日 (水)

ワンポイントレッスン(10)

Q 人工内耳の女児ですが、「か行」が発音できません。どのようにしたら発音できるようになるでしょうか。

A 人工内耳は電極が蝸牛の先端(低音に反応する)にまで届いていないこと等もあって、子どもによっては、高音調の「さ行」や「た行」は容易に発音できても、やや音調の低い「か行」の発音に苦しむことがあります。
 まず「か行」の音を含む単語、文節、文章を子どもにたっぷり聴かせてあげてください。その際、前母音と「か行」の/k/との「わたり」を聴き取ってもらうことが大切です。
 半年経っても/k/が発音できないようであれば、補聴器を対側耳に装着し人工内耳と併用して、あるいは人工内耳をはずして補聴器のみで、/k/を聴き取る練習を重ねてみてください。補聴器の高音域の増幅を抑え気味に調節すると、/k/が捉えられやすくなります。

2007年4月17日 (火)

ワンポイントレッスン(9)

Q 感音難聴の男児(5才)ですが、「か行」が発音できません。ワンポイントレッスン(8)の練習方法以外に何か効果的な方法はないでしょうか。

A 拗音を利用する方法があります。
 「きゃ、きゅ、きょ」/kya,kyu,kyo/から、「か行」を導き出す方法です。「きゃ、きゅ、きょ」と発音した後に「か行」を発音してみてください。「ぎゃ、ぎゅ、ぎょ」/gya,gyu,gyo/から「きゃ、きゅ、きょ」に進み、そこから「か行」を導き出すのもよいでしょう。/g/は/k/の有声音で、比較的発音は容易です。/k/の後に拗音を構成する/y/が挿入されると、後続母音との「わたり」が聴覚的に捉えやすくなり、発音の改善につながるようです。急がずに、長期的に練習を続けてみてください。

2007年4月 5日 (木)

ワンポイントレッスン(8)

Q 重度の難聴児(6歳)ですが、「か行」の発音ができません。「あいうえお」になってしまったり、「た行」になってしまったりします。どうのように教えたらよいでしょうか?

A まず、/k/の入った単語などを補聴器、あるいは人工内耳でたっぷり「聴く」ことが大切です。/k/の音を聴き取るには前にある音との「わたり」を捉える必要があるからです。その後に、発音の練習に移ります。/k/は牙音とか顎音とか呼ばれることもある音です。歯を(ほどほどに)食いしばって発音するのがポイントです。「か」であれば、ハンカチや指を歯でかんだ状態(/k/)から、一気に開口し/a/を発音します。ハンカチや指が歯から開放されるのと、/a/の発音とがタイミング的に合致すると、「か」となります。
指先で舌先の挙上を抑えながら母音を発音すると、「た行」にならずに、「か行」の音になることもあります。

2007年3月27日 (火)

ワンポイントレッスン(7)

Q 7歳の重度の難聴児ですが、「お」を「ほ」のように発音してしまいます。二つの音の違いが分からないようです。改善方法を教えてください。

A 「お」を呼気とともに発音すると、「ほ」になってしまいます。重度の場合、「お」と「ほ」を聴きわけることは至難です。呼気の閉鎖を運動感覚で覚えることが大切です。閉鎖破裂子音の[t]を利用すると良いでしょう。「と」を[to.to.to.to.to]のように、つづいて[to.o.o.o.o]のように発音してみてください。声帯などをほどよく閉鎖できれば、正しく「お」を発音できると思います。呼気を一旦閉鎖した状態で発音することがポイントです。

2007年3月13日 (火)

ワンポイントレッスン(6)

Q 6歳の感音難聴の男児です。「え」の発音で極端に舌を前方に出したりするので正しい発音ができません。改善の方法を教えてください。

A まず、指導員の舌の位置や動きを真似しないように注意を与えましょう。そのうえで、「え」本来の発音の特徴を利用して教えると良いでしょう。「え」は、なんとなく捉えどころのない音で、「あ」の発音から「い」に移る際に生じます。あるいは「い」の発音から「「あ」に移る際に生じます。つまり、「あ」を発音しながら少し下顎を上げると「え」となります。あるいは「い」を発音しながら少し下顎を下げると「え」になります。もし、「い」がある程度発音できるようであれば、「い」から「え」を導き出す方が容易かもしれません。

2007年2月24日 (土)

ワンポイントレッスン(5)

Q 左・右耳ともに100dBを超える感音難聴の男児(4歳)ですが、母音「う」が、鼻にかかったような不明瞭な発音です。改善策を教えてください。

A 「う」は口腔内の奥のやや高い(鼻に近い)位置でつくられる音です。発音の際に力みすぎると、呼気の一部が鼻に抜け、ご質問のような発音になってしまいます。
改善策としては、お腹の痛みをこらえているかのような動作をしながら、つまり両手を下腹にあて、上体を屈めながら、「う・・・」と声を出すなどの方法が考えられます。やや妙な練習方法と思われるでしょうが、簡単で、効果的です。身体の動作で、発音器官の動きを正す手法です。

2007年2月 5日 (月)

ワンポイントレッスン(4)

Q 難聴の4歳児ですが、「や」「ゆ」「よ」の発音がはっきりしません。どのように指導したら明瞭になるでしょうか?

A 「や」「ゆ」「よ」は、「い」と他の母音の組み合わせでできている音です。「い」をはじめに軽く付けて発音すると明瞭になります。つまり、「い→あ」で「や」、「い→う」で「ゆ」、「い→お」で「よ」という音になります。「い」の部分をあまり強く、長く発音しないようにしてください。かすかに聞こえるか、聞こえないか程度の「い」から「あ」「う」「お」に静に移るようにすれば、きれいな「や」「ゆ」「よ」が得られるでしょう。移行時に舌が上がったり、口唇が閉じたりしないように気をつけましょう。

2007年1月18日 (木)

ワンポイントレッスン(3)

Q 高度難聴児(感音性)です。「わ」を発音しようとすると、なぜか「ぱ」になってしまいます。どうしたらよいでしょうか?

A 「わ」は、「う」と「あ」の合体した音です。「う」から「あ」に移る時につくられる音と考えてもよいでしょう。気をつけなければいけないのは、「う」の口形から「あ」を発音する際の両唇の運動です。「あ」に移る時に口唇が閉じてしまうと、「ぱ」や「ば」になってしまいます。「う」を発音しつつ、口唇が閉じないように、ゆっくり、力を入れずに「あ」に移る練習を繰り返してみてください。「う」も「あ」も母音ですから、それほど難しくないと思います。

2006年12月21日 (木)

ワンポイントレッスン(2)

Q 重度の感音性難聴児です。「ママ」と発音しようとしても、どうしても「パパ」になってしまいます。どのように指導したらよいでしょうか。

A ママの[m]は、パパの[p]より、発音する際に口唇の筋緊張度が低いと言われています。そこで、[m]をゆっくり、力を抜いて発音するようにしましょう。急がず、弛緩気味に口唇を開いていく運動はけっこう難しいものです。「ママ」が、「ババ」という音になれば前進です。もう一段、ゆるやかに口唇を開くように発音すれば、「ババ」から「ママ」になるでしょう。

2006年11月 1日 (水)

ワンポイントレッスン(1)

Q 4歳の聾児(左右100dB)ですが、「い」の発音ができません。息が鼻に抜けたような
  感じで、声になりません。どのように指導したらよいでしょうか?

A /i/は口腔の前の方でつくられる音です。発音の際に力が入り過ぎると、口の奥の
方、つまり鼻腔に近いところで音をつくるようになってしまいます。対策として、呼気
が口腔内を前方に向かって流れるようにする必要があります。そこで、両唇閉鎖破裂音
と言われる/p/や/b/を前につけ、/piiiii/や/biiiii/のように
練習し/i/を教えます。/p/や/b/が発音できれば、わりと容易に「い」を習得
することができるでしょう。

(聴き取りや発音の指導法についてのご質問をお受けしております。)