ワンポイントアドバイス

2010年3月25日 (木)

ワンポイントアドバイス(12)

Q(12)

高度難聴児に「正しい言葉遣い」を教えるにはどのようにしたらいいのでしょうか?「話し言葉」と「書き言葉」の違い等(文節末や文章末の助詞の使用法の違い等)の点もあり、「正しい言葉遣い」の指導に困る場合があります。指導順序など効果的な方法を教えてください。

A

確かに、日本語では、「話し言葉」と「書き言葉」が大きく異なります。また、動詞の語尾変化、助詞の選択などについても、どのように説明し教えたらよいのかしばしば困惑致します。

指導手順としては、基本的には、健聴児が生活の中で習得するのと同じ順序が良いでしょう。まず、「話し言葉」から教えることです。それも対話形式の、日常生活に根付いた内容が良いでしょう。自然な言い回しを教えることです。

動詞の語尾変化も文章の中で慣れさせるほうが良いと思われます。語尾変化表などを機械的に暗記させるような方法は勧められません。助詞の選択なども、説明抜きに教えることのほうが良いでしょう。健聴児がいわゆる文法を習得するのは、各自が文章の仕組みを独自の方法で解明しているからです。動詞や助詞や接続詞などの使用法は、子どもが、自分なりに解明しなければ身につきません。

指導する側としては、内容が具体的で、理解が容易な会話体の文章を生活の現場で、その都度提示してあげることが大切です。

子どもは、文章を場面や状況と照らし合わせて、分析することによって、日本語の仕組みを習得いたします。これには極めて高度な知的作業が要求されますが、焦らず、じっくり取り組めば、正しい言葉遣い、正しい文法を身に付けることができます。生活の中での指導以上に効果的な指導法はないように思われます。

2010年3月 5日 (金)

ワンポイントアドバイス(11)

Q(11)

高度難聴の乳幼児には、どのように話しかけ、どのように言葉を教えていったらよいのでしょうか?

A

健聴であっても、2歳未満であると、まだ話しかけられている言葉を十分に理解することは難しいようです。しかし、誕生と同時に、聴き取り理解の練習を開始していることは確かです。乳幼児は、まず、話しかけられた簡単な単語や言い回しを覚え、やがてそれらをつなぎ合わせて二語文、三語文と自分で言葉を操作し始めます。重要なことは、話しかけられなければ、話す力が育たないということです。

高度難聴の乳幼児も同様です。考えようによっては、健聴児以上に話しかけてあげなければなりません。配慮すべきことは、言葉の聴き取り学習が開始できるような環境に乳幼児を置いてあげることです。難聴であるからこそ、言葉を知らない時期であるからこそ、周囲の者が、努めて言葉をかけてあげなければなりません。

その際、年齢に相応しい単語や文章で話しかけてあげなければなりませんが、具体的にどのような単語や文章が相応しいのかを考えると、なかなか難しいです。

基本的な心がけとしては、ごく普通に、健聴児に話しかけるようなつもりで言葉を選び、話しかけることです。また、ゆっくり、一音一音区切って話すなどといった不自然な話しかけ方等もしないことです。とにかく普通に、自然に話しかけることが一番です。

そして、なによりも、日常の生活の中で、場面や状況に応じて、言葉がけをすることが重要です。日々の行動や活動を通じて、言葉の意味内容を伝えることで、幼い難聴児の理解力を育むことができます。家庭での親子一体の生活が不可欠です。

2010年1月25日 (月)

ワンポイントアドバイス(10)

(10)

「読み・書き」の学習は何歳くらいから始めるのがよいのでしょうか?

A 

 文字に対する興味が芽生える年齢は子どもによって異なります。3歳くらいから関心を示す子どももいれば、就学年齢に近づいても「ひらがな」を覚えようとしない子どももいます。(概して男の子は文字を覚え始めるのが遅いようにも思われます。)

文字に関心を示さない幼児に対して、周囲の者が、焦って、半ば強制的に「ひらがな」などを覚えさせるようなことは、将来いろいろな面で困った問題を引き起こしかねませんので、控えたほうが賢明でしょう。就学以前の時期では、「読み・書き」の学習は、自然に子どもが興味をもつまで待つ姿勢で臨んだほうがよいように思われます。

また、難聴であるということで、特別な学習指導を行うことは、避けたほうがよいように思われます。文字学習の開始時期については、健聴児と同様に考えて問題はないと思われます。

「急がば回れ」という言葉があります。発声、発語、そして発話において、改善や進歩がある程度見られた後に文字による言語学習を開始するほうが、概して子どもにとって負担が少ないように思われます。経験的に言えることですが、音声の伴わない文字学習ほど進歩の遅いものはありません。もちろん、発音面で完璧を目指すあまり、子どもが文字に興味を示しているにもかかわらず、「読み・書き」を禁じるというような極端なことは控えなければなりません。発音が多少不明瞭でも、文字を音声に変換することができるようであれば、「読み・書き」の勉強は、幼児の言語発達を大いに促します。

個人差のあることですが、年少・年中の頃は主に発音の練習に努め、6歳を過ぎた頃から少しずつ「読み・書き」の学習を導入していくことが、その後の言語発達を考えると、やはり無難ではないかと思われます。文字学習の開始時期に関しては、急ぎ過ぎないことが肝要です。

2009年12月28日 (月)

ワンポイントアドバイス(9)

Q(9)

語彙を増やすための、また正しい言葉使いを身に付けるための学習がなかなか進まず、苦慮しています。なにか効果的な対策はありますか?

A

高度難聴児が単語を覚え、語彙を広げることにはかなりの困難がともないます。

言葉は耳から聴いて覚えるものです。言語力の基は聴く力にあります。その聴く力が十分でないと、視覚的な学習に頼ることになります。しかし、視覚的な教育だけでは十分に言語力が身に付きません。そのことを難聴児の言語教育に携わる多くの指導員たちが痛感しています。

また、言語の学習には、「言語を用いて、言語用法を身に付ける」という、手段と目的が重なり合っているという特殊な事情があります。健聴児であれば、聞こえた言葉を模倣して用いることはさほど難しくありません。健聴児は耳を使って外部の音声を聴き、そして頭の中で幾度も声に出し、覚えます。脳内で言葉を声(脳内音声)に出して、それを聴いて学習しているのです。

高度難聴児の場合も、声帯を使っての発声(不明瞭であるにしても)が、可能であるならば、脳内で繰り返し声に出し、単語や言い回しを覚え、記憶することは可能です。

難聴児が脳内の自声をどのように聴いているかは十分に研究されていませんが、言語力を高めるには、言葉を脳内で音にする、その音を繰り返し想起する、さらにその音を脳で聴くという「技術」が求められます。単語や言葉使いの学習を効果的なものにするには、「頭の中で声を出し、その声を聴く」練習を合わせて行う必要があります。

2009年12月10日 (木)

ワンポイントアドバイス(8)

Q(8)

高度難聴(聾)の場合、声が重く硬いことが多いように思われますが、自然な、明るい、軟らかい声を身に付けるためのポイントを教えてください?

A

 高度難聴(聾)児独特とも言えるような重い、硬い声は、声帯や口腔内の発音器官の不適切な筋緊張が原因と考えられます。幼い時に誤った発声の仕方を身に付けてしまうと、大きくなってから矯正するのは極めて難しいようです。

 笑い声などは自然であっても、言葉を発音しようとすると発声が不自然になってしまうケースもよく見かけます。器質的に明るい軟らかい声が出ないのではないのです。誤った筋緊張度の高い発声法が習慣づいてしまい、不自然な発声法から抜け出せなくなっているのです。

 発音器官は身体の筋緊張と連動しています。そのため、発音器官の筋肉のみならず、「身体の筋肉を適度に弛緩させて発声する技術」を身に付ける必要があります。緊張度(緊張・弛緩の度合い)に関しては、健聴者の発声時と同じ筋緊張度を目指すことが求められます。

 筋緊張の調整には、自らの声を自らの身体で感じることが求められます。手のひらなどに声を当てながら声を出す練習を重ねると、不自然な硬起声は少しずつ消えていきます。声帯周辺に手のひらを当てるのも良いのですが、子どもによっては、意識過剰になって、かえって声が硬くなることもあるので気をつけなければなりません。音声振動を、振動子を介して、指先など皮膚感覚の敏感な部位で感じ取りながら練習する方法もあります。

2009年11月27日 (金)

ワンポイントアドバイス(7)

Q(7)

補聴器の調整と効果について伺います。聴力損失の厳しい高音域での「利得調整」で、会話音域での反応を求めて、過度とも思われるほどに増幅されることがよくありますが、言葉の「聴き取り理解」にあまり役立っているようには感じられません。なにか改善策のようなものはないでしょうか。

A 

感音性の高度難聴(聾)の場合、一般的に、高音域で聴力が低下しています。そのような場合、高音域を増幅すれば良い結果が得られるかというと、必ずしもそうではないようです。

高音域を過度に増幅すると、音声の「有る無し」は補聴器を介して分かるものの、言葉の内容となると、了解度が下がってしまうことがあるようです。時には、「聴き取り理解」が困難であるばかりか、耳に痛みを感じることもあるようです。そのような場合、発音にも影響が及び、「硬起声」とでも呼べるような、搾り出すような、不自然な、硬い声になったりもします。高音域での会話音域内の反応を求める調整は、必ずしも言葉の聴き取り理解にプラスになるとは限りません。

もし、「聴き取り理解」に困難を覚えるようであれば、高音域の調整をやや控えめにするなどの処置をとったほうが、かえって補聴効果が増すようです。補聴器の性能は技術的には進歩してきていますが、そもそも補聴器は検査音(純音)を聴くためのものではなく、複合音である言葉を理解するための補助具であることを忘れてはいけません。環境音の処理の問題はありますが、低音域(1,000Hz以下)を優先して、リズムなどを頼りに、言葉の意味内容を捉えることを目指すほうが、補聴器を効果的に活用することにつながる場合もあるようです。

2009年11月11日 (水)

ワンポイントアドバイス(6)

Q(6)

聴き取り練習は0~3歳ほどの乳幼児でも可能なのでしょうか?

A 乳幼児でも聴き取り練習は可能です。

「補聴器を付けてからでなければ練習はできない」、「ちゃんと椅子に座れるようでないと練習にならない」、「落ち着いた傾聴姿勢が身についてからでなければ練習に入れない」といったことがよく言われます。しかし、傾聴姿勢等の条件が充たされてから始めというのでは、手遅れというほどではないにしても、言語教育の開始時期として理想的とはいえません。

乳幼児の聴き取り練習は生まれてから直ちに開始されなければなりません。実際、両親は聴き取り練習のつもりではないにしても、赤ちゃんは、両親の腕に抱かれた時から聴き取り練習を開始しています。赤ちゃんは話しかけられる言葉をママやパパの腕の中で身体を通じて感じ取っています。赤ちゃんの身体の皮膚が耳の役目をしているからです。

身体は低い音域の音声(およそ1,000Hz以下)を感じることができると言われています。音声の低周波数領域には言葉のリズムを伝えるエネルギーが含まれています。言葉のリズムの学習は言語を習得する上で欠かせません。そのような重要なリズムを、赤ちゃんは、身体で感じ取ることができるのです。

聴き取り練習は、ごく自然な育児のなかで開始されます。赤ちゃんを抱いて、健聴児に対する以上に話しかけることが、聴き取り練習の第一歩となります。

2009年10月21日 (水)

ワンポイントアドバイス(5)

Q(5)

「残存聴力を活用する」とは具体的にはどのようなことなのでしょうか?

A 多少音圧を上げると聞こえる周波数帯域を残存聴力域と言うことができますが、その狭い限定的な残存聴力域での聴き取り能力は、日頃の傾聴姿勢や訓練次第で向上いたします。重度の聴覚障害でも、多くの場合、低い周波数帯域に残存聴力が認められます。なかには、低い周波数帯域に加えて、やや高い周波数帯域にも残存聴力の認められるケースがあります。(その場合、「音の融合」とでも表現できるような現象が生じ、聴き取りはかなり容易となります。)いずれにしても、生来もっている聴力を十分に活用できるよう聴き取り能力を磨くことが「残存聴力の活用」ということになります。

聴き取り能力を磨くにあたり、控えなければいけないことが一つあります。それは手話、指文字への依存です。手指法に頼り過ぎるような場合、脳レベルで聴き取り能力が低く停滞してしまう恐れがあります。人間は言葉を、耳ではなく、「脳で聴く」のです。脳の可塑性に関わることですが、幼児期に話者の手や指の動きを「読む」ことが習慣となっていると、脳の聴覚に関わる細胞が退縮するとも言われています。

残存聴力の活用には「裸耳での聴き取り訓練」が大切と言えるかもしれません。可能な限り聴き取り感覚を磨き上げるよう、日頃から心がけることが大切です。補聴器をはずした耳に手のひらを添えて、聾児に単語や短い文章を聴き取らせるなどの練習も効果的です。 

聴き取り訓練を重ねても、器質的に耳が治るわけではありません。しかし、訓練を続けていると、不十分な音声情報ながら言葉を理解する能力が身についてきます。残存聴力の活用では、子ども自身が、幼児期に、限られた周波数帯域で独自の聴き取りシステムを脳に構築することが重要です。

2009年10月 2日 (金)

ワンポイントアドバイス(4)

Q(4)

聴覚に重度の障害がありながらも言葉が聴き取れるようになるということは、耳の障害が軽減、あるいは治癒するということですか?

A 聴覚障害の方で、まったく聞こえないという方はそれほど多くはないと思います。重度であっても、多くの場合、低周波数域では残存聴力が認められます。補聴器などで少し音圧を上げると音声の低い部分であれば聞こえるという方は多いのです。しかし、低く、こもったような音では、音声の存在の有無は感知できるものの、言葉の内容を捉えるということになると、なかなか難しいと言えるでしょう。

ただ、不明瞭な音声ではあっても、場面や状況から単語等を推測したり、音節数やリズムなどから言葉を捉えたりして、内容を理解するということは不可能ではないのです。それには、幼い頃からの練習が不可欠と言われています。幼い頃から、低い、狭い周波数帯の音声から言葉の意味を探る練習を積むと、言葉の内容を捉える能力の高められることが実証されています。

内耳の器質的な損傷は回復いたしません。従って、重度の耳が聴き取るということは、すべての音素を捉えるということではなく、話の内容を様々な言語情報から捉えるということにほかなりません。

また、複雑な話を読唇のみで理解することは難しいようです。音声からの情報を最大限に利用して話の内容を理解することに努める練習を積み重ねることで、聴き取り理解が可能となるのです。

2009年9月15日 (火)

ワンポイントアドバイス(3)

Q(3)

聴覚に障害があっても言葉を聴き取り理解することは可能なのですか?

A.可能です。ただ、一般的に、聴力損失が重度のケースでは、音声だけですべてを理解することは難しいかもしれません。残存聴力域外の周波数音が連続するような言葉が続いた場合、場面や状況から言葉を推測せざるを得ないかもしれません。また、多少、読唇によって言葉を理解しなければならないかもしれません。しかし、訓練次第で、重度の聴覚障害でも、かなり高い聴き取り理解能力を身に付けることは可能です。

それには一つ条件があります。それは、幼い時に、残存聴力域内の音声の周波数変化を敏感に捉える力を身につけるということです。脳がしなやかな時期に訓練を積むことで、単語や文節、文章をできる限り聴覚で捉えて、話の内容を理解する力を養うことです。

まったく音声を感じられないというほど重い聴覚障害は少ないと思われます。多くの場合、低周波数域に聴力が残っています。その残存聴力域の音圧を少し高めることによって、音声の低音域を捉えることが可能となります。

ただ、そのような訓練を受ける際に、平行して手話や指文字などの視覚刺激を多く受けると、脳の聴覚野の反応が鈍ってしまい、音声を脳で捉えることが難しくなるようです。その結果、脳の発話領域での神経細胞の働きが鈍り、発話力が伸びないということにもなってしまいかねません。

一にも二にも、幼い時期に、音声の聴き取り練習を徹底的に行うことが求められます。耳からだけでなく、体性感覚(触振動覚)経路で、音声振動を指先などで感じ取る訓練も役に立ちます。指先からの音声振動は脳の聴覚野に届きます。体性感覚(触振動覚)は聴き取り理解の大きな補助となります。

2009年7月17日 (金)

ワンポイントアドバイス(2)

Q(2)

昔、「聾唖」という表現をよく耳にしましたが、難聴であると何故話すことが困難になるのですか?

「聾」であれば「唖」である。一昔前までは、多くの人々がそのように聞かされ、何の疑問も挟まずに納得していました。しかし、実際には、「聾」と言われるほど重度であるにもかかわらず、かなり上手に話をする方たちのいらっしゃることが知られていました。従って、「聾」であると「唖」になることがある、と表現することのほうが適切であるのかもしれません。

耳から音声が入ってこない状態が長く続くと、話し言葉を習得することが困難となってきます。発声すら困難となるケースもあります。多少声が出るにしても、言葉使いがおかしかったりもします。

 健聴児は、耳から入る音声刺激で、脳の聴き取りに関わる神経細胞が成長し、言語音に対して敏感に反応するようになります。生後半年ほどの間に、聴き取り領域の神経細胞の成長が、弓状束などの神経を経由して、発話領域の神経細胞の成長を促すと言われています。

つまり、聴き取るための脳の神経細胞の成長が不十分であると、話すための脳の神経細胞が適切な刺激を受けられず、その成長が不十分なまま停滞してしまうのです。発話のための神経細胞が活性化されずに、萎縮したままの状態となってしまうのです。結果として、「唖」の症状を呈することになってしまいます。

重度の聴覚障害児の言語教育を考えると、まず乳幼児期に補聴器や人工内耳で脳の聴き取りに関係する神経細胞を刺激することが重要となります。

耳は皮膚の変化したもの、とよく言われます。皮膚は、人間の進化の過程を考えると、耳でもあるのです。皮膚からの音声刺激(音声振動)を上手に利用すると、脳レベルで聴き取りに関係する神経細胞をある程度刺激することが可能となります。触振動感覚を適切に利用すると、音声言語習得の道が開けます。重度の聴覚障害であるからといって、音声言語の習得を諦めるべきではありません。

2009年5月25日 (月)

ワンポイントアドバイス(1)

Q(1)

高度難聴(聾)児も「話し言葉」を身に付けることはできるのでしょうか?

高度難聴(聾)児の場合、幼児期に適切な聴き取りと発話の指導を受けずいると、いわゆる「聾」となってしまう可能性があります。聴力損失が100dBを超える子どもの場合、0歳~6歳の言葉の学習にとって極めて重要な時期に、視覚(手指法)に頼らずに、残存聴力を活用して、言葉を聴き取る練習、また明瞭度の高い発話能力を身に付ける練習をすることが極めて重要となります。言葉は耳が聴くのではなく脳が聴くのです。また、口が話すのではなく脳が話すのです。手話などに頼ると脳の聴覚領域が視覚刺激に反応するようになってしまいます。脳の機能がそのようになってしまうと、いくら人工内耳を付けても、いくら発音練習をしても、音声言語を身に付けることはほとんど不可能となります。脳がしなやかな時期に、残存聴力域で音声を聴き、声を出して話す練習をすることが欠かせません。読み書きにしても、音声言語が基盤となります。音声での記憶が困難であると、読んだり書いたりすることが難しくなります。

高度難聴(聾)児も、適切な聴き取り練習と発話練習を積むことで、音声言語(話し言葉)を身に付けることが可能となります。その際には、皮膚を通して身体で音声を感じ取る(触振動覚)などの多感覚的な指導を行うことをおすすめします。